独立して動く!自己増殖するワームの脅威

マルウェアの中でも特に特殊な能力を持つものがワームで、これに感染してしまうとコンピューターがとんでもないことになります。
他のマルウェアと異なるのは、ワームは独立して動く性質があり、コンピューター内に潜伏したら自分自身を複製してほかのプログラムの動作を妨げます。
ネットワークを通じて他のコンピューターにも感染する性質があり、この点はコンピューターウイルスと同じです。
皆さんがイメージしているコンピューターウイルスは、実はワームのことを指している可能性があり、ワームの自己増殖能力が注目されていることでそう認識されているのかもしれません。
ワームはウイルスやトロイの木馬などと比べて、感染速度が最も速いマルウェアで、感染したらネットワークを通じて他のコンピューターにすぐ移る性質があり、大量のメールを送信して広がるケースがあります。

ワームは2000~2003年にかけて、世界中のコンピューターで感染拡大が目立ち、世間を騒がせる事態になりました。
感染経路は主にネットワークから感染することが多く、ネットワークにつながっているだけでもすぐに感染する可能性があります。
コンピューターがワームに感染したら、ワームはランダムにIPアドレスを作成して次の感染先を探して感染していきます。
このような性質があるので感染速度は速く、複数のコンピューターに感染していくようになり、感染経路としては、メールに添付された状態で感染が広まるケースも有名です。
メールが受信され、添付されたファイルを開くとワームに感染し、ワームはコンピューター内でアドレス帳を探します。
メールアドレスを見つけたら、メールにワームを添付してそのメールアドレスに送信し、感染を拡大していきます。
感染したコンピューターから大量にメールが送られるため、多くの会社のシステムの動作が遅くなるといった事例があります。
これらのことを考えると、ネットワーク上の共有フォルダもワームの感染経路として危ない存在だと考えられます。
ワームに感染したコンピューターが、ネットワーク上にある共有フォルダにワームをコピーし、共有フォルダを使用している他のコンピューターに感染していく手口です。
ネットワークのみならず、外部のメディアからの感染も事例があり、USBメモリーから感染したケースが主に取り上げられます。
感染したコンピューターにUSBメモリーを差し込んだことで、ワームがUSBメモリー内にコピーし、そのUSBメモリーが他のコンピューターに差し込んだところで感染するケースです。

ワームは感染してしまうと、コンピューターの動作が止まったり、情報が盗まれたりする被害を受けてしまいます。
また、ワームがコンピューターに感染したら、コンピューターのバックドアを開いて別のマルウェアを侵入させてしまうことがあります。
ワームの被害を防ぐためには、OSなどを最新の状態に更新することや、送信元が不明なメールを開かないことで、被害を防ぐことができます。