取り締まるために!ウイルスに関連する法律

コンピューターウイルスが広範囲で感染すると、ご家庭のパソコンだけでなく会社や官公庁などのネットワークにも影響を受けてしまいます。
ウイルスによる被害が広がらないように、法律による取り締まりが進んでいて、ウイルスの感染を広めるともちろん取り締まりを受け、もちろんウイルスを作成した人にも厳重な取り締まりが行われます。
日本では、2011年の刑法改正により「不正指令電磁的記録に関する罪」が新設され、コンピューターウイルスに対する取り締まりが強化されました。
日本でウイルスを感染させるようにしてしまえば、この罪のほかに業務妨害罪などの規定が適用されることがあります。
コンピューターウイルスを取り締まる法律ができるまでには、長らくの時間を費やし、議論を重ねたうえで厳重な取り締まりができるようになりました。
2003年に法務省がサイバー犯罪条約に批准するために法の整備を進めることを発表し、「ウイルス作成罪」の新設を目指すことになりました。
2004年にウイルス関連の刑罰を盛り込んだ刑法の改正案が国会に提出され、継続審議や廃案、再提出を繰り返すようになり、なかなか可決することがありませんでした。
2011年にようやく可決・成立し、正式な理由なく無断でウイルスを作成・提供・取得・保管したら刑罰を受ける規定が適用されるようになりました。

不正指令電磁的記録に関する罪は、コンピューターウイルスでコンピューターに対して正常な動作をさせず、意図に反する動作や不正な指示を与えるようにしないために適用されています。
主にコンピューターウイルスに対するもので、ウイルスの感染により狙われる個人情報や重要なデータを守るためにあります。
この規定では、様々な状況に応じた刑罰が規定されていて、懲役や罰金が科せられるようになり、社会的にも大きく影響します。
正当な目的がなくウイルスを作成・提供すれば、「ウイルス作成・提供罪」が適用され、意図とは無関係に勝手にウイルスが実行されるようになれば、どうにもなりません。
ウイルスの作成者に対して、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられ、重大な責任を感じてもらいます。
ウイルスを作成するのはもちろんダメですが、ウイルスが使える状態にすることもよくないことで、そんなときは「ウイルス供用罪」が適用され、勝手に実行できるようにした場合、しようとした場合に適用されます。
こちらもウイルスの作成と同様に、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるので、ウイルスが使えるようにすることは絶対にしてはいけません。
勝手に実行することを目的に、ウイルスやそのソースコードを取得することもよくないことで、こちらの場合は「ウイルス取得・保管罪」が適用されます。
ウイルスを取得・保管しただけでも罰せられ、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられ、取得・保管すればいつ使われるのかわからないため、その時点で取り締まりを受けます。

コンピューターウイルスによる被害をもたらしたら、信用毀損罪や業務妨害罪なども適用され、社会全体にどう影響しているのかがわかります。
信用毀損罪は他人の信用を低下させた場合に適用される罪、業務妨害罪はウイルスなどの手法を用いて業務を妨害した場合に適用される罪です。